学校保健 理論研修会 終了

テーマ 保認知行動療法から学ぶメンタルヘルス
     
〜自己肯定感を高めるために有効な認知行動療法について〜
日 時 平成26年10月17日(金)
会 場 江別市立野幌若葉小学校
講 師 冨家 直明 氏
(北海道医療大学 心理科学部教授  臨床心理士)
参加者 102名
研修会

ようす
   
     
 今年度の養護教諭部会の理論研修会は、教育関係各方面でご活躍中の、北海道医療大学教授で臨床心理士でもある富家直明先生に講師をお願いしました。
 認知行動療法について、いろいろな事例やデータからお話しいただき、思考のとらえ方・コミュニケーション力の大切さ、子どもたちへの関わり方などについて、わかりやすくご講演いただきました。

 
「中1ギャップ」
 中学校で急に大きな壁やハードルがあるわけではない。問題が顕著化するのが中1で、小学校で予兆や顕在化し始めた問題が積み残しされていることが増えている。人の目を気にし始め、相手の気持ちを想像できることができる小3ぐらいがポイントになってくる。何もしないとコミュニケーション力は落ちてくる。小学校からの連続性に着目することで中学校の問題も解消していく。

いじめの問題
 半分以上が、コミュニケーション力が不足していることによって起きている。言い換えると、コミュニケーション力が育つと、いじめは半分以上防げるということになる。

コミュニケーション力の成長過程
@自分の意見を言う
 (幼稚園〜小学校低学年)
A相手の気持ちを想像してみる
 (小学校中高学年)
B相手の気持ちを尊重しながら自分の意見 を言う
 (中学校〜高校)
  問題は「人」ではなくその「行動」
 キレる子をどうしていくか。キレて問題を起こした時に、さあどうする?とあわてて考えるのはきりがないのでやめ る。起きる前に、感情の処理の仕方などできることを教えておくことが大切。一部のキレる子どもを問題視するのではなく、その行動に名前を付けていき、その行動への対応をしていく。コミュニケーション力の成長過程をふまえながら、子どもを理解支援していくことが大事。

思考と行動を修正する
 誰もがストレスを感じると考え方が悲観的になり、問題解決できない心の状態に追い込まれていくが、考え方のバランスをとりストレスに上手に対応できる心の状態をつくっていく。考え方と行動は誰でも変えることができる。「その考え方はよくない」という知識を相手に与えてあげる。
<三大否定思考> @自己に対する否定(自分はダメ人間だ)
        A環境に対する否定(こんな学校もう嫌だ)
        B将来に対する否定(将来絶望的だ)

推論の誤りに気付く
 誤った認識、陥りがちな思考パターンの癖を知る。
@恣意的な推論・・・・・・・・十分な根拠がなくても、自分勝手に悪い推論を               してしまう。
Aネガティブコレクション・・・相手の欠点や困りごとばかりに目をやる。
B「ねばならない」思考・・・・口癖のように「〜しなければならない」「絶対〜               だ」と考える傾向。
C過剰な責任感・・・・・・・・自分に無関係な出来事でも自分に関係していると               考える傾向。
授業後の講演も、授業スタイルで。みなで考えながらすすめていった。

望ましい原因の考え方を身につける
 原因を考えた時、そう考えて得すること、損することを考え統合していく。
@たくさんの原因を思いつけるようにする。
 柔軟な思考をする。(能力・行動・他人・運・大量・日時)
A思いついた原因の中から、やる気の出る原因を選ぶ。合理的な選択をする。 
 今年度の理論研修会では、考え方のバランスをとり、問題に対応する心の状態を作っていく方法は、ストレスを回避し自己肯定感を高める有効な方法だと感じた。 保健室に来室する子どもは、メンタル部分で問題を抱えている場合が多い。ものの受け取り方や考え方を修正し行動を変えるお話は、子どもたちとの関わりの中で役立つ大変有意義な内容でした。