所長挨拶

石狩教育研修センターは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に則り、石狩振興局管内7市町村が共同して行う教育に関する研修及び調査研究を共同処理するための施設として昭和50年に設立されました。

北海道教育庁石狩教育局、市町村教育委員会と事業内容について連携するとともに、北海道立教育研究所及び道内各教育研究所等教育研究機関と情報交換を進めながら、管内約2400名の教職員を対象とした今日的な教育課題解明に資する研修事業を行っています。

我が国の教育を巡る状況として、所得や資産の格差は、過去最悪である「子どもの貧困」に大きく影響を及ぼし、格差の再生産・固定化も問題となっています。全国学力・学習状況調査結果研究から、親の所得と正答率との関連性が指摘され、格差問題には様々な観点はあるものの、学校教育の中でいかに理解させるかは、貧困の連鎖を断ち切る重要な鍵であり、学校の果たす役割は大事です。また、心の成長に関わる現状として、社会的環境の変化、家庭や地域社会の教育力の低下、体験の減少などを背景として、生命尊重の心の不十分さ、規範意識の低下、人間関係を形成する力の低下などが指摘されています。

以上のことから、学校に対して、必要な学力や体力、道徳性等を確実に育成する質の高い教育を求める声が高まっています。

日本の学校は今後10年間で教員の3分の1が入れ替わります。大量退職・採用が全国規模で進み、若手への校内指導にゆとりがない中、初任者でも授業力以外の力が一層求められています。さらに教育改革において、ICT教育、土曜授業の活用、体験活動や読書活動の推進、小学校英語や道徳の教科化等々に関わる各種施策が推進されています。

学校教育においては、次期の学習指導要領改訂も含め、社会の変化や要請を的確に捉え、行政、地域、家庭と学校が一層連携し、充実した教育を推進することが重要です。

そのため、教職員の専門性や指導力の向上に資する研修の実施は不可欠です。一人一人の教師力を高めつつ、組織としての学校力を高めることが喫緊の課題であることから、当研修センターでは、平成28年度の重点を、

 1 地域の実態に即した教育課程の編成・実施・評価に生かす資料の整備

  2 教職員一人一人の指導力を高める研修の充実

 3 日常実践に役立つ情報・資料の収集と提供

として掲げ、各市町村教育委員会をはじめ、関係機関と連携して事業を進めて参ります。

当研修センターにおける各種研修事業が、管内教育の一層の充実と教職員の指導力・実践力の向上に寄与するよう、努めて参ります。


平成28年4月

石狩教育研修センター 
 所長 柴口 史子

 (千歳市立千歳小学校長)